優しくない嘘
恋愛始めの高校生かのように
何度も密会を繰り返した。
『あなたが来たら体温2度くらい上がる…』
「10分くらいしたら、あと5度上げてあげる」
沢山社内メールをして、
毎日ドキドキさせられて、
少し話せるだけでも1日幸せな気分になれた。
「口内炎めっちゃ痛いんすけど」
『今日薬持ってこようかと思ってたんよ』
「ちょっと舐めてもらってもいいっすか?」
夜になれば電話をして、あなたの声を聴くと
私はなんでもできる気がした。
子どもがおらんかったら全然違うんだけどな、と漏らすあなた。二児の父にはなれない、と。
もし私に子どもがいなければ、たとえ結婚していようと奪いにきてくれたってこと?
あなたの婚約者と別れて、私の元へ来てくれたってこと?
たとえ、嘘でも嬉しかったよ。
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