サディスト
『今から行くね』
「もうちょっと時間かかりそう」
あなたのもうちょっとはいつも長い。
そして、決まっていない。
怒られるかもしれないと思ったけど、私は時間を潰すために男友達に一杯だけ付き合ってもらうことにした。
案の定、飲み会の終わったあなたは連絡をすぐ返さない私にイライラしていた。
「もう無理して来なくていいから。」
友達にお礼を告げて、慌ててあなたの家へ向かう。
タバコを吸いながら気持ちを落ち着けてるみたいだけど、私のことを一切見てはくれない。
『ごめんなさい…』
何度謝っても許してはくれず、ベッドへ潜り込むあなた。その横で立ったままの私を睨みつけながらベッドの中へ引き込む。バックハグされながら身体をいじられ、無言の怒りと、私への嫉妬を強く感じる。怒っているあなたに恐怖を感じながら、同時に心地よさを覚える。いつもなら沢山降り注いでくれるキスを一度もしてくれず、私からねだると
「他の男としたやろ?」
疑心でいっぱいになっているあなた。
あなた以外の人と、してるわけないのにね。
こんなにもあなたのことでいっぱいになってる私が、他の人で満たされるわけがないのにね。
いつも以上に強く腕に噛みつかれ、耳を引きちぎろうとするほど噛まれ、首筋にも痛みが残るほど歯型を残される。
乱暴にセックスをされ、優しく、抱きしめてくれる。
『まだ怒ってる?』
「恨んでるよ、愛してるからね」
私とあなたの恋はいつも、愛と憎しみが紙一重の、揺らいでいて、不安定で、いつ崩れてもおかしくない状態にある。
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